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第2回!クルージング! 2005年2月16日



大海原に抱かれてクルージングする楽しさは、それを実感した人でないととても説明ができません。その楽しさと裏腹に、登山でも同じでしょうが急な天気の悪化や場所特有の波、船を海難事故に導く怖さもそこにはあります。

十分な航海計画を作成する。燃料は充分か、時間は大丈夫か、危険箇所の海図上での確認などを十二分に行って初めて楽しいクルージングができるのです。

今回は勿論、海図をもとにそれらを確認し、天気予報で風と潮流を確認し、すべてOKとなったところで出航をきめました。そして、ただクルージングするだけでは、楽しさがいま少し不十分。何か、味付けをして楽しむ。今回は、バーベキューです。霜降りの牛肉、イカにエビ、貝柱、それと野菜になすびとピーマン。バーベキュウーのなべも石炭も着火炭も準備OK。







車のトランクいっぱいに積み込んだ行楽道具。





航海前の安全講座でビデオをみているところ。





出向前のマリーナの桟橋にて。





関空沖を通過中の景色。





大阪岬マリーナにて給油。これで大阪湾縦走。



レンタル艇というのはレンタル会社の宣伝文句で整備抜群、快適な航海といいながら、前回実際に乗船して、そのひどさに驚いたものだった。

なんと「法定備品」というアンカー、バケツ、発光円筒、浮き輪、水汲みひしゃく、などが必要なのに、前回と同じ着いているのはアンカーと浮き輪だけ、完全に違法である。そして、船に乗る人間の生命に危険を脅かすことにもつながるのである。

今回は、私が船長として全責任を負いながら行ったクルージングであったが。私の心配は、残念にも的中してしまった。水深が測定できず、船を座礁させてしまったのである。

海上保安庁に2月13日事情聴を受け検察庁へ書類送検する聞き取りが行われる。海の事故は陸上の車の事故と違い、座礁させては即、刑事事件となってしまうのである。私には、できる限りの準備をしていたのに、ガソリン計は前回と同じく故障しやはり備品はアンカーと浮き輪しかなかった。

慎重だと自分で思っていたが、人に迷惑かけられることまでは計算できなかった、すなわちマリーナに強く要請して「法廷備品を全て積ませる」ことしなかった私の人間性の甘さであった。キャプテンとして今回の大きな反省材料であった。

マリーナの担当者が言うには「今回はけが人も無く、船も沈没せず、それが何よりです。これで海はこりごりだと思うことは、同じ海の仲間として無いようにしてください。これからも海で楽しむことをやめないで下さい」そのとおりかもしれない。ただしそれは今回の刑事事件が決着してからの話である。今回はよい人生勉強をし、一回り大きなキャプテンになる肥やしと思って、気持ちを切り替えよう。


今回は大阪岬マリーナまで順調な航海をし、大阪湾を縦走し、昼飯のため友が島でアンカーをしようとしたところ、そこは遠浅で突然の座礁。118番に電話をして、和歌山保安本部へ救助され、疲れた体で夜遅く家路についたまでが、今回の顛末となった。

船長とは航海の全責任を背負った立場にありますが、車の運手にしてもしかりですが事故を起こしたことのない人は、自分が加害者であれ被害者であれ、そのことによって成長していくものです。完璧な人間などは、あまり沢山はいないでしょう。

ただし、海上保安庁ならびにマリーナに対し大変なご面倒と心配をかけたことと、同乗者の人命を危険にさらしたことには、深く深く反省しております。

皆様におかれましても私が船長として、今回貴重な経験をして、最後まで同乗者の安全に全力を尽くしたことをご記憶いただいて、将来クルージングにお誘いしたときにもむげにしない様お願い申上げます。

追記:「井の中の蛙大海を知らず、されど天の高さを知る。」と言うのが今の心境です。少しおかしな表現ですが、今回大海の恐ろしさを経験しましたが、118番への通報、同乗者の安全の確保、船体の確保、そして海上保安庁和歌山本部へ救助されるまでの最後まで船長としての自覚と責任を全うしたのが、自分の心の中に新たな自信と次の航海につなげる心の糧を与えてくれたようなきがします。





不本意な座礁。118番をかけたので関空から警備艇が救助に来た。





空の上からはサーブ340が我々を見守って
くれて何度も旋回飛行してくれていた。





救助された巡視艇「きいかぜ」の艦内。



2月13日和歌山市和歌山海上保安部にて同乗していた友人とともに事情聴取。

3月19日和歌山市和歌山海上保安部の2回目の呼びだし。「もう少し聞きたい事が有る」との事だけなので、何が待ち受けているのか気味が悪かったが、逆に私に寛大な処置が下されるようにとの事情聴取をしてくれたのだった。ただし書類は検察庁へ送付されるとの事。

3月20日神戸海難審判理事会の呼び出し。ここでは行政処分の判決のための事情聴取がなされる。事情聴取は5時間も掛かかった。

今回の乗り上げ事件は弁護士とも話し合った結果、法定備品であるアンカーロープの整備不良が原因として過失責任はレンタル側のヨットハーバーに大きくあり、そのせいで危険な状態に陥ったと主張する予定。それでも船長として過失責任がゼロとは行かないであろう。弁護士いわく「嫌疑不十分で不起訴になるであろう」との事。

知らなかったなぁ。保安庁の統計による海難事故の平成16年統計では;海難船舶隻数は2,883隻(平成15年に比べ150隻増)であり、過去10年で最多。(過去10年間の平均海難船舶隻数:2,572隻/年)用途別では漁船が995隻(63隻増)で最多。以下、プレジャーボート983隻(22隻増)、貨物船405隻(40隻増)と続く。漁船(995隻)、プレジャーボート(983隻)及び遊漁船(143隻)で全体の約4分の3を占める。

海難種類別では衝突が1,007隻(35隻増)で最多。以下、機関故障が377隻(38隻増)、乗揚が333隻(23隻増)と続く。


 

<プロも座礁>







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