『プラハの渡し船』



   スメタナの交響詩で有名なヴルタヴァ川は、プラハの街を南北に貫くように流れており、この川の流れが歴史の街の美しさを一層ひき立て、訪れる人を魅惑しています。街の中心には、欄干に聖像が立ち並ぶ、石造りのカレル橋を始め、いくつもの橋がありますが、ちょっと中心をはずれると、だんだん橋が少なくなり、向こう岸へ渡るのもかなり困難を要します。

 そんな不便を解消する為の渡し舟が、プラハにあるなんて知ったのは、去年の秋でした。プラハ北部の、動物園のあるトロヤ地区から川沿いをずっと散歩していて、だんだんはずれになって、どうやって街に戻ろうかと思ったら、なんと渡し舟があって助かったと、フランス出身の友人が話してくれたのでした。それで、春になれば絶対乗ろうと思っていましたが、冬場は動いてないし、この春は雪解け水の増水で、ずっと運休したままでした。再開したのは、この五月です。

 船に乗る人は、たいていは地元の人で、休日はサイクリングの人が多く、自転車の持込みも可能です。この辺りを自転車に乗りながら、のんびり回るのは、気持ちが良さそうです。



 

  

 たて看板には、「係員の許可なしで渡し場に載らないで下さい」とありますが、そう厳しくはありません。切符売り場もなく、プラハ市営交通機関の定期を持っていれば無料、持っていなくても20コルナ(約100円)払えばOK。人が集まれば、いつでも乗れます。








  愛嬌ある地元の船頭さん。数人乗れば一杯です。








向こう岸には、田舎の鉄道のような小さな駅があり、もうプラハ郊外です。 






川は南のほうから北へ流れ、プラハを出ると、ムニェルニークの町でラベ川と合流し、さらに北へ行くとドイツに入り、「エルベ川」と名前が変わります。  2002年の大洪水の時に、動物園から洪水で流されたオットセイが、この川の流れに乗って、はるばるドレスデンで保護されたというニュースが、人々の心を和ませましたが、洪水対策は、日本よりかなり遅れているようです。









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